日曜日 2004年3月7日
1.看護の歴史
フランスは、フーコーの著書『臨床医学の誕生』においても記されているように、18世紀末から19世紀にかけてヨーロッパ医学の中心であった。特に、パリの医学は指導的立場にあり、パリ学派と呼ばれ、病院における臨床実習を重視する病院医学の発達によって注目を浴び、病院を医学の研究と教育の場として発展させた。この病院医学の発展のためには、中心となって医療を実践する医師を補助し、又、医療の対象となる患者の増加に伴い、看護の担い手の増員が必要不可欠であった。すなわち、看護の世俗化と職業化(看護機能の医療化、病院化)の促進である。病院医学が発達し、治療の「場」として病院を機能させることを目的に、看護の近代化が求められたフランスは、看護の職業化の歴史を研究する上で重要な地域なのだ。 看護が職業として誕生するのは、19世紀まで待たなければならないが、看護という行為は、それこそ人が人と共に生きていくうえで欠くべからざる行為であるから人類の歴史とともに存在したはずだ。しかし、看護を家族や近親の者の看病ではなく、他者を看護するという行為に広げて見てみると、歴史上、宗教的な理由で旅人や行き倒れの