イタリア国境に近いスイスの町で生まれ、パリのモンパルナスで人生の大半を過ごしたジャコメッティ。ジュネーヴの美術学校で絵画や彫刻を学んだ青年ジャコメッティは、２０歳でパリに出る。キュビスムやシュルレアリスム運動の影響を受けたのち、独自の”存在の表現”を求め、ジャコメッティの代表作である細長い彫刻のかたちへと行き着く。多様な表現方法がある中で、ジャコメッティは個性を削ぎ落とすことで現実性を高め、彼の”見えているもの”を表現していった。

”描いては消す”ことを繰り返す彼のモデルには忍耐強さが求められたが、その数少ないモデルの中に日本人哲学者である矢内原伊作がいた。彼の東洋的な風情と精神はジャコメッティを魅了し、数多く作品に残している。

今回の展覧会では彫刻のみならず、素描、版画、絵画など、１３２点が展示され、初期から晩年までの作品をまとめて鑑賞できる。日本では１１年ぶりになる大回顧展。(Eiko Suzuki)

 

国立新美術館　企画展示室1E（東京•六本木）

2017年６月１４日（水）〜９月４日（月）

休館日：火曜日

開館時間：10:00〜18:00　※金・土曜日は20:00まで（入場は閉館の30分前まで）

観覧料：一般 1,600円 大学生1,200円 高校生800円 中学生以下無料

お問い合せ：03-5777-8600 ハローダイヤル

http://www.tbs.co.jp/giacometti2017/