フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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セシル・コルベル、ケルティック・ハープ奏者
投稿日 2010年7月1日
最後に更新されたのは 2023年5月25日
セシル・コルベル:ケルティック・ハープの音色
 
ケルティック・ハープ奏者セシル・コルベルはスタジオ・ジブリを虜にする事が出来た。ジブリ最新作「借りぐらしのアリエッティ」の主題歌と音楽を書いて、演奏するように頼まれたのだ。私たちはオリジナルサウンドトラックを完成させた彼女に東京でインタビューした。
 

フラン・パルレ:あなたはギターからハープに転向されたのですね・・・
セシル・コルベル:私は子供のころ、ギターを習う事を選んだのです。9歳から10歳でした。何故なら一つ楽器を選んでやってみたかったからです。それに家には、音楽が溢れていましたから、音楽を学ぶ事はとても自然なことでした。だから私はギターとハープを選びました。ハープはもう少し後の思春期に出会って、まさに一目惚れしたのです。そして私はハープを習う為にギターをやめたのです。経緯としては実にシンプルなものでした。
 
フラン・パルレ:ケルティック・ハープは少し特殊な楽器ですよね・・・
セシル・コルベル:特殊、というのは、おそらくそこまで知られていないからだと思います。でもブルターニュではギターと同じ位、ありふれた楽器なのです。この楽器は音楽学校では良く教えられている楽器で、手ごろで、とっつきやすく、先生もかなりいます。私がこの楽器を習い始めた頃にも、この楽器選択は、とても平凡なものでした。今日では、さらにポピュラーになり、より流行になってきました。この楽器はフランスの他の地域にも広まり始めています。この楽器はかなり不思議で、神秘的な楽器であり続けています。確かに全ての国や地域にあるわけではないので、少し特殊なのです。
 
フラン・パルレ:普通よくコンサートで使われる(グランド)ハープとはどこが違うのですか?
セシル・コルベル:何よりも大きさの違いがあります。弦もだいぶ少ないですし、オクターブも少ないです。その他、より技術的な違いでは、この楽器はダイアトニック(全音階的)な楽器だということです。つまり弦の配列を全音階に限定した楽器です。半音に変えたければ、それぞれの弦に付いているレバーを手で調整する必要があります。それに対して、コンサート仕様のグランドハープは、より大きな音で、より反響が良く、音が厚いのです。何故ならこちらは、弦の本数が多いからです。脚部にはペダルが付いていて、常時あらゆる弦を半音に変えることが出来るのです。これはクロマチック(半音階を含む12の音階を配列した)楽器です。
当然、これら二つの楽器のレパートリーは異なってきます。
 
© Franc-Parler

フラン・パルレ:あなたのレパートリーでは、ケルトの流れを沢山取り入れていますね・・・
セシル・コルベル:それは私の主なインスピレーションの源なのです。私のケルティック・ハープは、その名の通り、アイルランド、ブルターニュ、スコットランドのレパートリーに良く合うのです。そして私はブルターニュで育ったので、それは私の心に語りかける音楽なのです。私はそれを正に私の個人的な音楽の源、伝統に浸りながら、私だけの音楽を、正真正銘の21世紀の音楽でありながらケルト色のある音楽を、作ろうとしているのです。
 
フラン・パルレ:インスピレーションの源として、あなたが心に留めている何か特別なものはありますか?
セシル・コルベル:インスピレーションの源は、十分に豊かで無限です。まず伝統的な歌曲や音楽のレパートリーがあります。だからメロディーはとても良いヒントになります。メロディーやダンスを構成するやり方も。それはかなり興味深い素材です。それからブルターニュのあらゆるフィクションには、実際、とても豊かな物語、伝説、神話があり、私は日常的に影響を受けています。私はかなり読書をしますし、ある場所や風景と結びついた物語があると知るや、耳を傾けようとしているのです。
 

フラン・パルレ:またはある人物と結びついた場合ですね。なぜならあなたは「アンヌ・ド・ブルターニュ」だったのですから・・・
セシル・コルベル:そうなのです、その側面もありました。ブルターニュは個性豊かな歴史上の人物を多く輩出しています。その中に平凡な女性アンヌ・ド・ブルターニュがいました。だから私は最近、彼女の生涯をなぞった舞台に参加したのです。そこには多くのブルターニュ出身のアーティストが参加していました。ブルターニュ出身以外の人もいましたが。そして私はアンヌを演じる機会に恵まれました。それで私は彼女の生涯を知ることになったのです。それは当時の女性としてはかなり信じられない経歴でした。彼女は二度フランスの女王になり、当時の文化の為にとても尽くした、と私は思います。それは素晴らしい経験でした。この舞台は私にとっても、個人的に実り多い経験となりました。
 
フラン・パルレ:あなたは文化の混ざり合いと仰ってますね。他の出身のアーティストもそこに居たのですから。ご自身でも、複数の言語で歌っていらっしゃいますね・・・
セシル・コルベル:私は複数の言語で歌いますが、それはごく自然にそうなったのです。考えた末の行動ではなく、私は言葉やその響きがとても好きですし、それに私は心打たれたままに動くので・・・気に入った歌があるとすぐに、それがトルコ語であれ、英語であれ、それがハープでどのように表現できるか、そしてその歌を、ハープの響きとどのように適合させるか、試しています。原語を出来る限り尊重しながら、その言葉を日常的に話していなくても。だから、そう、私はフランス語、英語、ブルトン語でも少し、ゲ-ル語でも歌います。時には他の音の世界に飛び込んでみることもあります:トルコ語、ヘブライ語、そして最近では日本語にも。
 
フラン・パルレ:もうそこに飛び込まれていますね。日本にいらっしゃるのですから。あなたが日本語に取り組まれたのはどのようなきっかけなのですか?
セシル・コルベル:それは現在私が経験しているスタジオ・ジブリとの素晴らしい冒険のおかげなのです。彼らは現在制作中の新しい作品「借りぐらしのアリエッティ」に私の音楽を選んでくれたのです。私はすでにこの音楽についてかなりの時間を費やしています。私は英語で歌を書いているのですが、みんなが、少なくとも一曲くらいは日本語で歌ったらすごくいいかも知れない、と言ったので、この日本語の歌詞がついたアリエッティの歌が出来て、私はそれを出来る限りの日本語で歌っているのです。それから私は、数カ月前に関わることになったこの新しいプロジェクトを通じて、最低限、この国の言葉を学ぼうと努めなければならないと思いました。私を何週間も受け入れてくれるのですから。だから私は現在、日本語の初心者なのです。
 

フラン・パルレ:「借りぐらし」のアルバムはスタジオ・ジブリとの協議の上で作られたと想像出来るのですが。あなたはそれぞれのシーンに合わせて歌詞を作られたのですか?どのように作られていったのですか?
セシル・コルベル:それはチームでの仕事でした。かなり前から私はそのシナリオと絵コンテを渡されました。背景や登場人物を少し視覚化できるようにということでした。それから音楽に反映して欲しい状況や感情を見極めるポエムや短いテキストも渡されました。だから全ては実際には文字でのやり取りでした。
 
フラン・パルレ:その秘密を守るのは大変ですね。一般公開に先だってジャーナリスト達に今度の作品はどういうものか少し教えてくれと懇願されたでしょう・・・
セシル・コルベル:そういったことは常に秘密めいていますね。作品は公開されていないですし、私達は既に数カ月前からそれに取り組んでいるのですから。だからこの状況は時にはかなり楽しめますし、時には結構重いです。でも日本での公開日が近付いてくるほどに、ジブリの人たちとの出会いと制作の素晴らしいひとときについて自由に話せるようになると思います。
 
2010年7月
インタヴュー:エリック・プリュウ
日本語訳:粟野みゆき
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