ジャン=クリストフ・レオン:もう一つのフランスの特産物、ほろほろ鳥フランスは世界で最大のほろほろ鳥生産国である。ほろほろ鳥は野鳥と鶏の中間の鳥で、その柔らかでヘルシーな身と独特の風味で知られている。この鳥の養殖・加工専門会社サヴェルの営業部長ジャン=クリストフ・レオン氏は日本人の食卓にほろほろ鳥をのせたいと思っている。フラン・パルレ:ほろほろ鳥はどこから来たのですか?ジャン=クリストフ・レオン:ほろほろ鳥がヨーロッパに入って来た歴史はお話するに値するでしょう。この鳥はフェニキア人がアフリカ大陸の海岸沿いに航海して持ち帰ったのです。伝説にはハンニバルが自身の家禽として持ち帰ったのがほろほろ鳥と言われています。彼はドゥローム県に滞在し、そのドゥローム県に最初の生産拠点が設立されたのです。この鳥が他の地方へ小旅行したのは養鶏が工業化した50年代でした。こうしてブルターニュやペイ・ド・ラ・ロワール地方がフランスにおけるほろほろ鳥の主要養殖地域になったのです。フラン・パルレ:何があなたがほろほろ鳥に関心を持つきっかけになったのですか?ジャン=クリストフ・レオン:当時、ほろほろ鳥の製品はフランスの生産者から鶏の製品と同じ様に扱われていました。ところが我々にとってはこの製品は謂れのある製品なのです。これは高級品です。だから何年も努力を重ねた結果、我々は正真正銘のほろほろ鳥産業を立ち上げたのです。栄養面は勿論、養殖、屠殺、加工過程を4、5年の間に成し遂げ、つまりは89年から95年の間にフランスにおける市場の40%のシェアをとることが出来ました。この進展は続き、今日サヴェルは食用鳥全体の40%、カット肉では80%を占めています。ということは現在我々がほろほろ鳥専用の施設を装備したヨーロッパ最大の業者なのです。フラン・パルレ:ほろほろ鳥の特徴はどんな所ですか?ジャン=クリストフ・レオン:特徴は、その養殖と加工にあります。養殖では、まず大変密度の低い環境で、小麦、とうもろこし、大豆を組み合わせた100%植物性の飼料を使った養殖だということです。この栄養は現在遺伝子組み換え生物を使わない方針です。なぜなら我々は鶏において行われていることと差別化をはかりたいからです。養殖の特徴はまたその生産履歴、食品としての安全性、衛生面、当該施設で確立した飼育のフォローアップ技術でもあります。この仕事に我々は何年も費やし、今も毎日小さな秘密が明らかになり続けています。フラン・パルレ:今日、あなた方はどの地域に輸出していますか?ジャン=クリストフ・レオン:我々は総売上高の25%を輸出しています。このうち、我々はヨーロッパに勿論輸出しています。ヨーロッパ共同体内部にも外部にも。当然アジアにも:日本、シンガポール、香港、台湾。中東の国々にも輸出しています。フラン・パルレ:日本へはどんなアプローチをされますか?ジャン=クリストフ・レオン:これは長期戦略です。なぜならサヴェルは1976年から日本に進出しているのですから。日本向けの最初の輸出は30年近く前になります。我々の関心は常に継続性のある構想を立て、新しいものを提供していくことにあります。我々の使命は高級ケータリングの場で仕事をすることを核に、経験豊かな仲介業者を通じてレストラン業界全体にこの製品を広めることです。我々の願いはこの製品を大衆化することです。なぜなら日本には本当にこの製品にとっての市場があると考えているからです。フラン・パルレ:あなた方の製品はどの様な形で日本に流通しているのですか?ジャン=クリストフ・レオン:現在われわれは生と冷凍の両方のルートを同時に扱っています。生の方では一週間に3度発送しています。冷凍では、このルートで仕事をしている顧客のニーズに従ってコンテナで出しています。フラン・パルレ:日本の養鶏業者の反応を予想されていますか?ジャン=クリストフ・レオン:ほろほろ鳥は全く競合しません。これは隠れた逸品です。この製品はフランスにおいて、総売上高が食用鳥市場の2.5%で、とても小さいシェアです。我々は鶏と競合する為にここにいるのではありません。ただ何か違ったものを提供するために来たのです。この製品はいずれにせよ価格的にいえば、鶏より高価です。これは違った製品を求める人々のための、野鳥と鶏の中間の製品です。これがほろほろ鳥の実際の位置づけです。ほろほろ鳥は鶏とは全然違う味です。これは異なる方法で調理する鳥です。明らかに高級料理に適しています。フラン・パルレ:高級フランス料理向けですか、日本料理向けですか?ジャン=クリストフ・レオン:高級フランス料理は日本ではとても有名です。我々の製品もその範疇に入ります。ほろほろ鳥の製品は日本ではほとんど知られていません。上野動物園を訪れると、アフリカのサバンナのほろほろ鳥が何羽か、半分放し飼いの囲いの中をせかせか歩き回っています。この鳥を鑑賞することと我々の生産方法とはなんの比較もできません。しかし我々が扱う鳥と上野動物園の鳥の歴史は共通しています:これは2000年以上前から存在している伝統ある製品なのです。これは家畜化された古い鳥なのです。フラン・パルレ:おすすめの調理法はありますか?ジャン=クリストフ・レオン:わたしがお勧めするとしたら、ほろほろ鳥を調理する最上の方法は、生クリームかフォアグラをベースにした詰め物を使うことです。特におすすめは、キャラメルをからめた林檎を生クリームに加え、そこに少しのシナモン等を入れたりしてそれを皮の下に詰める方法です。ヒレ肉の皮を持ち上げ、林檎と一緒に詰め物をすることで、林檎の風味とその優しい味が同時に解放され、肉を柔らかくしてくれ、そしてそれは絶対に美味です!もう一つの方法は、同じように、皮のすぐ下に詰め物をするのです。でも必ずしも肉の内側に詰めません、その風味を損なうからです。ただ単に予め塩こしょうしたフォアグラを詰めることで特別な品質の製品になります。これは高級料理ですが作り方はシンプルです。誰にでも出来、どうやって作るかを説明するだけでいいのです。2005年3月インタヴュー:エリック・プリュウ翻訳:粟野みゆきサヴェルは1968年フィニステール県ブルターニュで創られた家族資本のファミリー企業で、養鶏、ひよこを専門にしていたが、1989年よりほろほろ鳥も専門に扱う。総売上高5000万ユーロ、従業員220人、生産拠点3カ所、鶏、ひよこ、ほろほろ鳥ではヨーロッパのリーダーである。
ジャン=クリストフ・レオン、ほろほろ鳥の養殖・加工専門会社サヴェル営業部長
投稿日 2005年3月1日
最後に更新されたのは 2023年5月23日