『ピエール・エテックス レトロスペク ティブ』1928年、フランスのロアンヌに生まれ、チャールズ・チャップリンやバスター・キートンたちに憧れ、サーカスに恋をした少年ピエール・エテックス。道化師になることを夢みた彼は、楽器やパントマイムなどの芸を磨き続けるが、やがてパリでイラストレーターとして活躍するようになる。ピエールが映画の世界へと転身する転機となったのが、ジャック・タチとの出会いだ。『ぼくの伯父さん』 では、アシスタントとして働いただけにとどまらず、同作のポスター制作を手がけ、後に『ぼくの伯父さんの休暇』と『ぼくの伯父さん』の小説版ではイラストを担当することに。そこでピエールを待っていたのは、小説版を執筆したジャン=クロード・カリエールだった。「エテックス監督・カリエール脚本」のコンビが生み出す世界はコミカルで切ない。(Mika Tanaka)<上映作品>Crédits : © 1968 - CAPAC 『恋する男』エテックスとリエールのコンビが手がけた最初の長編映画。恋に不器用な主人公が、あるときテレビに出演していた歌手のステラに夢中になって、部屋じゅうを彼女の写真で埋め尽くすが……ステラに会おうとミュージックホールの楽屋裏に押しかけたときにすれ違うサーカス一座は、エテックス作品の多くに出演するクラウンのジョルジュ・ロリオ率いる一座。駅のホームのラストシーンはコミカルでありながら、哀愁が漂う。( 短編映画『破局』と併映)監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール1962 年/ フランス / モノクロ / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 84 分 / 字幕:井村千瑞※日本初公開時の邦題:『女はコワイです』Crédits : © 1962 – CAPAC 『ヨーヨー』『恋する男』に続く、2作目の長編。父親と死別して間もないエテックスが「父と息子の絆を描きたい」という思いから生まれた。大富豪の男が世界恐慌を機に屋敷を出て、サーカスの一座に加わる。息子はヨーヨーという名のクラウン(道化師)として活躍するが、廃墟となった父の屋敷に特別な思いを抱き始める……ヨーヨーの成長と共に世界恐慌、第二次世界大戦、テレビ時代の台頭という20世紀の歴史が描かれるが、時代に合わせ映画そのものが「サイレント映画」と「トーキー映画」の二部構成で描かれる。ピエール・エテックスという人がいかにサーカスを愛しているか、そしてどれだけ映画を愛しているか、その溢れんばかりの思いがつまっている。監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール1964 年/ フランス / モノクロ / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 98 分 / 字幕:神谷直希Crédits : © 1965 - CAPAC 『健康でさえあれば 』「不眠症」「シネマトグラフ」「健康でさえあれば」「もう森へなんか行かない」の4編の短編から成るオムニバス映画。今回が日本初公開となる。騒音や大気汚染といった生活環境の悪化をコミカルに描いたさまは、50年近く経っても色褪せることがない。(短編映画『絶好調』と併映)。監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール1965 年/ フランス / パートカラー / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 67 分 / 字幕:横井和子Crédits : © 1973 - CAPAC – Les Films de la Colombe 『大恋愛』第一次世界大戦から戻り結婚し、10年経った頃。仕事も妻との生活も充実しているが、どこか満たされない主人公の前に新人の若い秘書が現れ……さまざまな人がさまざまな妄想をくり広げ、映画ならではの手法で私たちを笑わせる。そんなコミカルと展開と裏腹に、ベッドが車のように道路を走り出す主人公の妄想はメランコリックで美しい。冒頭、俯瞰で映るロワール川の上流には、エテックスの故郷ロアンヌがある。このときに流れる映画の主題歌「Les Heures Tournent(時が刻む)」は、主人公の妻を演じ、後に本当にエテックスの妻となるアニー・フラテリーニが歌っている。(短編映画『幸福な結婚記念日』と併映)監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール1968年 / フランス / カラー / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル /87分 / 字幕:寺尾次郎Rétrospective Pierre ÉtaixLe soupirant de et avec Pierre Étaix; 1963, France, 83 min N/BYoyo de et avec Pierre Étaix, Claudine Auger, Luce Klein, Philippe Castelli; 1965, France, 92 min N/BTant qu’on a la santé de et avec Pierre Étaix, Denise Péronne, Simone Fonder, Sabine Sun, Véra Valmont; France, 1966, 79 min N/BLe grand amour de et avec Pierre Étaix, Annie Fratellini, Florence Girard, Nicole Calfan, Alain Janey; 1969, France, 87 minRuptureHeureux anniversaire de et avec Pierre Étaix, Georges Loriot, Nono Zammit, Lucien Frégis; 1961, France, 15 minEn pleine forme

『ピエール・エテックス レトロスペク ティブ』 Rétrospective Pierre Étaix
