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『愛する人に伝える言葉』 De son vivant
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Crédits : © 2021 Lilies Films / France 3 Cinéma

『愛する人に伝える言葉』
 
 「親を失った子供は”孤児”と呼ばれる。じゃあ、子を失った親は何と呼べばいい?」
ステージ4の膵臓がんを告知されたバンジャマン(ブノワ・マジメル)が母親のクリスタル(カトリーヌ・ドヌーヴ)に尋ねる。この言葉に込められた意味を思うと、胸が苦しくなる。登場人物たちがスクリーンを超えて私たちに迫る。まるで隣にいる誰かのように、生々しい存在として。
バンジャマンは病床で泣く。「俺は何も成し遂げていない」と。クリスタルは自分を責める。幼少期のトラウマががんの原因ではないか。幼い頃ストレスを与えてしまった自分のせいで、愛する息子はがんになってしまったのでは、と。痩せ衰えるバンジャマンをまるで赤ちゃんのように抱っこするクリスタル。子を先に送り出さなければいけない親は、何とつらいことか。だからこそ、最後のシーンに救いと希望が見えるのだろう。
描かれるのは、母と子の絆だけではない。ドクター・エデ(ガブリエル・サラ)と看護師のユージェニー(セシル・ド・フランス)は、最後の最後まで、彼らに寄り添い続ける。しまい込んだ”共感”の鎖を解き放ち、共に泣くユージェニー、嘘をつかず真摯に向き合うエデ、彼らもこの映画の主人公だ。ガブリエル・サラはニューヨークを拠点に活動する実際の名医。この映画で紹介される医療現場の取り組みや患者へのセラピーは、すべてサラ医師が実践する方法を再現している。”そのとき”が来たら、愛する人たちにどんな言葉を贈ればよいのか……ドクター・エデがバンジャマンに指南する5つの言葉は、簡素でありながらどこまでも深い。(Mika Tanaka)
 
監督:エマニュエル・ベルコ
脚本:エマニュエル・ベルコ、マルシア・ロマノ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ブノワ・マジメル、セシル・ド・フランス、ガブリエル・サラ
2021年/フランス/122分
 
De son vivant d’Emmanuelle Bercot avec Catherine Deneuve, Benoît Magimel, Cécile de France, Gabriel Sara; 2021, France, 122 min
 
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