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『地下室のヘンな穴』 Incroyable mais vrai
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Crédits : © ATELIER DE PRODUCTION - ARTE FRANCE CINÉMA - VERSUS PRODUCTION – 2022

『地下室のヘンな穴』
 
 緑に囲まれた一軒家。マイホーム購入のための下見に訪れたアラン(アラン・シャバ)とマリー(レア・ドリュッケール)だが、あまり乗り気ではない。不動産業者は、そんな2人を地下室へ案内する。そこには人がひとり入れるほどの小さな穴があった。煙突をくぐるサンタクロースのように3人は穴を降りていくと!!!
それは一種のタイムマシンなのか?穴の先に広がるのは12時間先の世界。一方、くぐったものは3日分若返るという。腐ったリンゴを持ってくぐれば、みずみずしくよみがえるのだ。業者の強いすすめで購入したその家は、アランのつとめる保険会社の社長、ジェラール(ブノワ・マジメル)の家のすぐ近く。ジェラールはパートナーのジャンヌ(アナイス・ドゥムースティエ)とともに新居を訪れ、会話に花を咲かせる……若返りの秘術を知り、穴をくぐり続けるマリー。男性の肉体的シンボルにとらわれるジェラール。そんな二人と対照をなすのが、アランの包容力とジャンヌの自由奔放さだ。コメディなのに哲学の匂いがする。笑えるのに哀しい。バロック調でありながら軽いサウンド、日本人に見えない人たちの日本語の会話、それらのチープさが映画のトーンにぴたりとはまり、なお哀しい。
カンタン・デュピュー監督は、狂気にかられる人間たちを冷酷に突き放しているのだろうか?いや、きっとそうではないのだろう。それを証明するのが、アランの存在だと思う。彼が妻のマリーを見守る静かなまなざし、それは慈愛だろうか、諦念だろうか。私には読み解くのが難しい。でも、ネコや犬と自然に会話を 交わしたり、ジェラールに頼まれてジャンヌへの プレゼントを選んでいるアランを見ていると、彼には「あきら め」よりも「愛」の方がはるかに似合う気がするのだ。( Mika Tanaka)
 
監督・脚本:カンタン・デュピュー
出演:アラン・シャバ、レア・ドリュッケール、ブノワ・マジメル、
アナイス・ドゥムースティエ
2022 年/フランス・ベルギー/74分
 
Incroyable mais vrai de Quentin Dupieux. avec Alain Chabat, Léa Drucker, Benoît Magimel, Anaïs Demoustier; 2022, France, Belgique, 74 min
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