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『没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭』
ロミー・シュナイダー。1938年、オーストリア生まれ。壮絶な人生だったと聞く。だから、映画や舞台の中では幸せであってほしい……そんなたわいない願いを忘れてしまうほど、映画の中のロミーは生々しい。役を演じているのではなく、「役を生きている」のだ。アラン・ドロン、ミシェル・ピコリ、イヴ・モンタン、ジャン =ルイ・トランティニャン。共演する男優たちの演技も鬼気迫る。立場や状況は違えど、共演する男優たちは誰もが彼女に夢中になり、自らを破滅に向かわせてしまう。『マックスとリリー』でミシェル・ピコリが演じた役名は、『サン・スーシの女』でも同じく、マックスだ。どちらのマックスもロミー演じる女性の存在によって人生が大きく動く。『離愁』のジャン =ルイ・トランティニャンは、彼女との偶然の出会いさえなければ、家族と静かに生きていくことができたであろうに、と思う。『夕なぎ』ではイヴ・モンタンの無骨さを、『太陽は知っている』ではアロン・ドロンの屈折した愛情を、ロミー・シュナイダーは見事に引き出した。自分を輝かせるだけでなく、共演者を輝かせることに長けている人だったのだろう。ベテラン男優たちだけではない。『華麗なる女銀行家』と『サン・スーシの女』では、十代の小さな男優たちが彼女を必死で守ろうと、名演を披露する。実の息子ダーヴィットも、ちょうど同じ年頃だったはず。彼らとの共演を、ロミーはどんな思いで受け止めただろうか。
がつんとした存在感とは対照的に、声は少し華奢な印象。笑ったときの目元は無邪気な子供のよう。そんな可愛らしい瞬間のロミーに出会えるのもまた嬉しい。
(Mika Tanaka)
『太陽が知っている 4Kデジタルリマスター版』監督:ジャック・ドレー
『マックスとリリー』監督:クロード・ソーテ ※日本劇場初公開
『夕なぎ』 監督:クロード・ソーテ
『離愁 4Kデジタルリマスター版』監督:ピエール・グラニエ
『華麗なる女銀行家 4Kデジタルリマスター版』監督:フランシス・ジロー
『サン・スーシの女』監督:ジャック・ルーフィオ
『地獄』監督:セルジュ・ブロンベルグ、ルクサンドラ・メドレア※日本劇場初公開
Romy Schneider Rétrospective - 40 ans après sa mort
La piscine (remastérisation 4K) de Jacques Deray
Max et les ferrailleurs de Claude Sautet
Le train (remastérisation 4K) de Pierre Granier-Deferre
La banquière (remastérisation 4K) de Francis Girod
César et Rosalie de Claude Sautet
La passante du Sans Souci de Jacques Rouffio
L’Enfer d’Henri-Georges Clouzot