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C.R.A.Z.Y.』 C.R.A.Z.Y.
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Crédits : © 2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

C.R.A.Z.Y.』
 1960年代から1970年代……甘酸っぱい思い出をそっと取り出す人もいれば、知らない時代への憧れに胸ときめか せる人もいるだろう。この時代の空気は不思議だ。リアルタイムで通り過ぎた世代にも、経験したことのない世代にも「すてきな何か」を 届けてくれる。
この映画の舞台はケベック。5人兄弟の4番目のザック(マルク=アンドレ・グロンダン)が語り手となり、彼の家族、ボーリュー家の歴史を語る。軍人で音楽 が大好きな父ジェルヴェ(ミシェル・コテ)ジェルヴェ、愛でいっぱいの母ロリアンヌ(ダニエル・プルール)の間に 生まれたのは、5人の男子。クリスチャン、ア ントワーヌ、レイモン、そして語り手のザック、末っ子のイヴァンと続く。始まりは、ザックが誕生する1960年12月25日。ジェルヴェとザックとの 関係は、ザックの思春期のめざめをきっかけに変わり始める。よき父であろうと努力し、家族のすべてを背負おうとするジェルヴェの苦 悩。一方、息子と心の痛みに本能的に共鳴する母・ロリアンヌの苦悩。父と母の愛を土台に成長していく子どもたち。といっても、ジャ ン=マルク・ヴァレ監督は決して家族の理想を美化することはない。残酷な別れもある。
 同性愛、むきだしの母 性、欲望と家族愛……ざらっとした質感の映像で躍る人間の業が、詩情豊かに描かれる。シャルル・アズナヴールの”Emmenez-moi(世界の果てまで)”、パッツィー・クラインの”Crazy(クレイジー)”など、挿入歌が放つ時代の香 りが心地よい。子どもたちの名前の由来を知るとき、両親の愛の大きさを再び知る。この“愛”をより緻密に描こうとする想いが、後に 『カフェ・ド・フロール』(Café de Flore)の果てしない母性へとつな がっていったのだろうか。ジャン=マルク・ヴァレ監督は、2021年12月25日、突然この世を去った。もっと生きて、もっと”愛”を描き続けてほしかった。(Mika Tanaka)
 
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:ミシェル・コテ、マルク=アンドレ・グロンダン、ダニエル・プルール
2005年/カナダ・モロッコ/フランス語・英語/129分/PG12
後援:カナダ大使館、ケベック州政府在日事務所
 
C.R.A.Z.Y. de Jean-Marc Vallée avec Michel Côté, Marc-André Grondin, Danielle Proulx; 2005, Canada, 129 min, PG12
 
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