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『パリ13区』 Les Olympiades
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Crédits : ©︎ShannaBesson ©PAGE 114 - France 2 Cinéma

『パリ13区』
 中華料理店のホールスタッ フとして働くエミリー(ルーシー・チャン)。スマホのメッセージを受け取るとそそくさと仕事を抜け出し、高層住宅の一角へ。30分ほどして戻ってくると、食事を楽しむ客たちの前で突然、軽やかに踊り 出す……舞台はセーヌ川を南岸に位置するパリ13区。再開発が進み近未来的な 情景と、アジア人街(Quartier asiatique)の賑わいが混在するエリアだ。奔放であっけらかんとしているように見えるけれど、エミリーの心にはぽっかりと穴 が開いている。好きな人には振り向いてもらえず、仕事は解雇、原因は自分の心の問題に あるのではないかと悩む。
1級教員資格(Agrégation)を目指す高校教師のカミーユ(マキタ・サンバ)、30代に入ってソルボンヌ大学に入学したノラ(ノエミ・メルラン)、アダル トサイトで活躍するアンバー・スウィート(ジェニー・ベス)…… 1人の男性と3人の女性が織りなす人間模様 は、21世紀流と表現すればよいのだ ろうか、会話よりも先に肉体的な関係がある。ジャック・オディアール監督はエリック・ロメール監督の『モード家の一夜』を参考にした と語るが、ウィットに富んだ会話で少しずつお互いの距離を縮めていく展開と、男女の肉体が絡み合うシーンが頻繁に登場する本作とでは まるで対極にあるように思える。が、振付師が演出しモノトーンの色彩で柔らかく包み込んだ裸体は、ロメールの描いた詩情に通じるよう な気もする。デジタル化の進んだ社会に生きる彼らが肌と肌を重ねた瞬間、”孤独”という言葉が浮かび上がって くる。モノクロ映像の中で一瞬、カラフルに映し出されるのが、インターネット越しに甘い言葉をささやくカムガール、アンバー・ス ウィート登場のシーン。彼女が少しずつ素顔をさらけ出していく過程に癒され、心晴れやかになっていくのはいったいなぜだろう。(Mika Tanaka)
 
2021年/フランス/105分/モノクロ・カラー/R18+
原作: エイドリアン・トミネ
監督:ジャック・オディアール 
出演:ルーシー・チャン、マキタ・サンバ、ノエミ・メルラン、ジェニー・ベス ほか
 
Les Olympiades de Jacques Audiard avec Lucie Zhang, Makita Samba, Noémie Merlant, Jehnny Beth; 2021, France, N/B couleur, 105 min R+18
 
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