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〈アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画〉 Rendez-vous avec Agnès
〈アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画〉
 
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Crédits : ©2019 Cine Tamaris – Arte France – HBB26 – Scarlett Production – MK2 films

『アニエスによるヴァルダ』
「Inspiration(ひらめき)、Création(創造)、Partage(共有)……この3つがキーワードよ」
  この映画の主人公であり監督でもあるアニエス・ヴァルダが、舞台にあるディレクターズチェアに座りながら観客席に向かって語り出す。彼女による、彼女自身の映画のレクチャーの始まりだ。二色使いの個性的な髪、明るい紫色の服、シワだらけでありながら機敏な表情。”お茶目”や“チャーミング”という言葉はこの人のためにあるに違いない! 
 
「ヌーヴェル・ヴァーグの祖母」と呼ばれ、20世紀のフランス映画界の奇才であり続けたアニエス・ヴァルダ。しかしそんな名声がかすんでしまうほどに、映画の中の彼女はキラキラとした光を放っている。みずみずしい感性は老いるどころか、熟成して芳しさを増しているのだ。『5時から7時までのクレオ』がいかなる理由で誕生したのか、なぜ『ダゲール街の人々』で地元を撮影したのか、そこには現実的な切ない理由があった。数々の試練をチャンスに変えて、ヴァルダは21世紀の今なお色褪せることのない芸術を生み出した。暴力を使わず芸術で闘うスラム街の若者、ハート形のジャガイモ、伴侶を失った喪失感と共に生きる女性たち……彼女のカメラの向こうには、日常を懸命に生きる市井の人々の姿がある。「撮る対象に愛着を抱くと、その映像は平凡ではなくなる」と、映画のレクチャーの中でヴァルダは語るが、この言葉に、彼女の映画のすべてがあると感じる。彼女の温かな”愛”、感動を”共有したい”という思いがスクリーン越しに私たちの胸に飛び込んできたとき、私たちは間違いなく幸福な気持ちになれる。そして、映画は人を幸福にすることができるのだということを確信する。
 
『冬の旅』で主人公を演じたサンドリーヌ・ボネールが撮影当時を振り返ってヴァルダと語るときの表情が、とても爽やか。(Mika Tanaka)
監督:アニエス・ヴァルダ
2019年/119分
 
『ラ・ポワント・クールト』
“La pointe courte (短い岬)” は、フランス南部の地中海に面した小さな漁村。アニエス・ヴァルダの母の出身地であり、十代のヴァルダが数年間暮らした地でもある。ここを舞台に、2つの物語が展開される。1つは、静かに、そして懸命に生きる漁民たちの毎日の暮らし。そしてもう1つは、夫の故郷の村を訪れる夫婦の物語だ。映画が制作されたのは、1954年。ヌーヴェル・ヴァーグをリアルタイムで知らない人でも、この映画を見終えたとき、その時代に存在した熱い何かを感じることができるのではないだろうか。船大工の父を持つ夫が、妻を船底に案内するシーンが印象に残る。(Mika Tanaka)
 
監督:アニエス・ヴァルダ
編集:アラン・レネ
出演:フィリップ・ノワレ、シルヴィア・モンフォール
1954年/80分/モノクロ
 
『ダゲール街の人々』
アニエス・ヴァルダが暮らしていたパリ14区のダゲール通り。この映画が撮影されたのは、息子のマチューが2歳の頃だ。母親としての立場は彼女の生活圏をせばめたというより、彼女に新しい道を開かせたのかもしれない。何ということのない商店街の風景が、彼女のカメラ越しに華やかな色彩を帯びる。まるで街中が媚薬をかけられたかのように。アコーディオンの音色、奇術師、メトロノーム……さりげないモチーフに、”パリの普段使いの匂い”がぎゅっと詰まっている。(Mika Tanaka)
監督:アニエス・ヴァルダ
1975年/79分
 
Rendez-vous avec Agnès
 
Varda par Agnès d’Agnès Varda; 2019, 119 mn
 
La pointe courte d’Agnès Varda avec Philippe Noiret, Julia Montfort; 1954, France, N/B, 80 mn
 
Daguerrotypes d’Agnès Varda; 1975, 79 mn
 
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