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『人生、ただいま修行中』 De chaque instant
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Crédits : ©️Archipel 35, France 3 Cinéma, Longride -2018

『人生、ただいま修行中』
 
「腹を刺された患者がいたとする。そんなとき、刃物を抜いてはいけない。その理由は?」
  教師が生徒たちに問いかける。生徒たちは真剣なまなざしで答える。看護師の仕事は常に死と隣り合わせ。その瞬間瞬間に、命を守るためにすべきこととしてはいけないことが明確にあって、その判断を間違えることは許されない・・・・・・2016年、ニコラ・フィリベール監督は、塞栓症で救急救命室に運びこまれた。そのときの体験と医療関係者への謝意が、このドキュメンタリー映画の制作のきっかけとなった。選んだ題材は、看護学校の生徒たちのようす。講義と実習、教師との面談、地味なビジュアルでありながら、生徒や教師の多様性が私たちをどんどん映画の中へ引き込んでいく。「試験中はラマダンを免除できるのよ」と教師に言われると「試験を言い訳にはしたくありませんよ」と笑う生徒がいる。生活のために体を売り、あるときHIV検査を受けたいと訪れた女性を思い出して泣き出す生徒がいる。実習中に強盗が入り一文無しになったとき、母親がアンティル諸島からはるばる訪ねてきてくれた話をする生徒がいる。「私が勉強できるのは母のおかげです」と。忙しすぎる実習先で、誰からも何も教えてもらえず右往左往した自分を責める生徒がいる。彼女は、患者が輸血を拒否したのは自分のせいではないかと思い、苦しんでいた。そんな見習いの彼らを見守る教師たちもまた、性別も肌の色も同一ではない。「行きたくない実習先があれば言って」と教師が生徒に尋ねるところが、日本との大きな違いかもしれない。
 
  撮影が行われたのは、モントゥイユのクロワ・サンシモン校。国籍や宗教の違い、経済力や保険の有無に関わらず、すべての患者に対して “平等”に接するという精神を掲げ、生徒たちは看護のプロとなるために学び、ときには失敗し、成長を続けていく。ナレーションも音楽もなく、淡々とすすむ本編のエンドロールで、ギターの優しい音色で歌われる”Don’t Think Twice, It’s All Right”(邦題:くよくよするなよ)に、思わず涙ぐんでしまった(Mika Tanaka)
 
監督:ニコラ・フィリベール
2018年/105分/ドキュメンタリー
 
De chaque instant documentaire de Nicolas Philibert; 2018, France, 105 mn
 
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