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『真実』 La vérité
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『真実』
 
 カトリーヌ・ドヌーヴが往年の大女優の役を演じる。娘役はジュリエット・ビノシュ、その夫にイーサン・ホーク。後輩の女優を演じるのは、リュディヴィーヌ・サニエ。何だかワクワクしてくる。そんなチャーミングな共演を実現したのが是枝裕和監督と聞くと、子役の存在感にも期待してしまう。そんな強烈な登場人物たちの和解の鍵を握るのは、マノン・クラヴェル。日本ではあまり知られない彼女の才能が、この映画で見事に開花したと言っても言い過ぎではないだろう。
  娘に逃げられたと思っている母。母に愛されていなかったと思う娘。娘のリュミールは、おばのように慕っていた女優・サラの死を回想し、追い込んだ母を責める。母のファビエンヌもまた、親友だったサラを失ったことを忘れたことはない。だから、「サラの再来」と注目される新進女優のマノンの主演映画に出演することを承諾したのだ……その映画とは『母の記憶に』(ケン・リュウ作)というSF小説。余命2年と宣告された母は、娘の成長を見守るため宇宙へと旅立つ。娘は歳を重ねるが、母はいつまで経っても若いままだ。「私の娘でよかった?」マノンが尋ねると、「ママの娘で、私は幸せだったわ」とファビエンヌが答える。こんなシュールなやりとりを軸として、まるで魔法の杖を振った後のように映画が生き生きと回り出す。ギスギスした関係を抱えながらも、優しげな音楽に身を委ねて庭で踊る人々の表情がすがすがしくて気持ちいい。ああ、是枝監督らしいと思わせるワンシーンだ。(Mika Tanaka)
 
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ、ほか
2019年製作/フランス・日本/108分
 
La vérité de Hirokazu Kore-eda avec Catherine Deneuve, Juliette Binoche, Ethan Hawke; 2019, France, Japon, 108 mn
 
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