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『12か月の未来図』Les grands esprits
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Crédits : ©ATELIER DE PRODUCTION - SOMBRERO FILMS -FRANCE 3 CINEMA – 2017

『12か月の未来図』
広い額に丸メガネ、トラッドな服装。口元はいつもキッと閉じて、ジョークを言うことも微笑むこともなさそうな印象。映画の主人公、名門のアンリ4世高校で国語を教えるフランソワ・フーコーは、そんな絵に描いたような、厳格で真面目なベテラン教師。見かけ倒しではない。彼が教育問題において抱く考えも高尚だ。「パリと郊外の学校の教育格差を解決するためには、ベテラン教師を派遣して新米教師を支援することが大切だ」。あるとき、美しい女性に向けて語った彼の理想論は、本当に政府を感心させ動かしてしまう。フランソワの提案のとおり、教育困難校であるバルバラ中学校へ、ベテラン教師が派遣されることになったのだ。派遣されるのはフランソワ・フーコー、提案した彼自身だ。
 昼間から団地にたむろし、教師への敬意をみじんも持たない生徒たち、問題児は退学させればいいと考える若手教師たち、子供の教育に無関心の保護者たち。一方、フランソワといえば、様々なルーツを持つ生徒たちの名前を読むのにも苦労する毎日。でも、映画の主人公はあきらめない。信念なのか意地なのか、いずれにしてもフランソワは決して白旗を上げることはしないのだ。『レ・ミゼラブル』をタブロイド誌のようにわかりやすく解説し、生徒のカンニングを逆手に取ってモチベーションへと変換させる。「規則で縛ることが教師の役割ではない。学校というのは、”éduquer “ではなく、”instruire”する場所だと思うのです」オリヴィエ・アヤシュ=ヴィダル監督は語る。自由に物事を考え、いろいろな物事に関心を持つ——生徒をそんな方向に導くことが教育の本質であり、人格を育てるということなのだろう。
 この映画には、完璧な子供も完璧な大人も存在しない。登場人物は誰もが失敗したり、みっともない姿をさらしたりしながらスクリーン上ではじける。だから目が離せない。この映画を見た後は、前よりも肩の力をぬいて生きることができそう。(Mika Tanaka)
 
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オリビエ・アヤシュ=ビダル監督(2019年2月27日撮影)
Crédits : © Mika Tanaka

監督:オリヴィエ・アヤシュ=ヴィダル
出演:ドゥニ・ポダリデス、レア・ドリュッケール
2017年/107分
 
Les grands esprits d’Olivier Ayache-Vidal avec Denis Podalydès, Léa Drucker; 2017, France, 106 mn
 
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