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『あなたはまだ帰ってこない』 La Douleur
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Crédits : ©2017 LES FILMS DU POISSON - CINEFRANCE - FRANCE 3 CINEMA - VERSUS PRODUCTION - NEED PRODUCTIONS

『あなたはまだ帰ってこない』
1944年のパリ。ナチス占領下にあるこの街で、30歳のマルグリット・デュラス(メラニー・ティエリー)は、夫・ロベールの帰りを待っている。ロベールはレジスタンス活動をしていたため、ゲシュタポに連れ去られてしまったのだ。自分から探し出すことはできず、ただひたすら待つマルグリット……戦時中、”待つ”という静かで長い苦悩を経験した多くの人たちがいる。フィンケル監督がこのテーマを選んだ理由はどこにあるのだろう。
「”待つ”というテーマには、フィンケル監督ご自身の強い思い入れがありました」。主人公を演じたメラニー・ティエリーは、本作に込めた監督の思いをこう語った。「監督のお父さまが、戦時中に連れ去られてしまった家族をずっと待ち続けていらっしゃったからです」。
 いるべき場所にいない家族を待つ人々の苦悩。夫の帰りを待つ妻もいれば、ガス室に送られてしまった娘の帰りを待つ母もいる。スタイリッシュなモノクロの映像と音楽が、心に重い余韻を残していく。原作は、『愛人/ラマン』の翌年に発表された自伝的小説『苦悩』。1940年代半ばにデュラスが書いた日記や手記がそのまま、ほぼ削除されずに掲載されている。戦時中でありながらなお、エネルギッシュで官能的な彼女の輝き!どんな時代であっても、どんな状況であっても、人は「愛」を求め続ける存在なのだろう。映画のラストで、夫を待ち続けたデュラスが出した「結論」を、あなたはどう感じるだろうか。 (Mika Tanaka)
 
監督:エマニュエル・フィンケル
出演:メラニー・ティエリー、ブノワ・マジメル
2017年/フランス・ベルギー・スイス/126分
 
La Douleur d’Emmanuel Finkiel avec Mélanie Thierry, Benoît Magimel, Benjamin Biolay; 2017, France, Belgique, Suisse, 126 vmn
 
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