<アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ>1953年、小説『消しゴム』で鮮烈なデビューを飾ったアラン・ロブ=グリエ。ヌーヴォー・ロマンの旗手として文学界に君臨した彼は、映画界にも革命を起こす。アラン・レネ監督の『去年マリエンバードで』の脚本を執筆し、『不滅の女』で監督デビューを飾った。今回上映される6作品のうち、『囚われの美女』を除く5作品が日本未公開だ。今回の上映作品は、モノクロが3作品、カラーが3作品。デビュー作『不滅の女』では、イスタンブールの町並みや謎めいた女性が、モノクロのトーンでよりミステリアスな輝きを帯びる。アラン・ロブ=グリエ監督初のカラー作品『エデン、その後』では、チュニジアの陽の光が白い壁と青い窓を鮮やかに照らし、ときおりあらわれる赤い色が心をかき乱す。麻薬の運び屋の道中を入れ子(メタフィクション)で描いた『ヨーロッパ横断特急』、第二次世界大戦末期のスロバキアが舞台の『嘘をつく男』。この2作品の主演は『男と女』で知られるジャン=ルイ・トランティニャン。あまりにも背徳的と、上映禁止やフィルムが焼かれる事件が発生した『快楽の斬新的横滑り』では、『フレンズ〜ポールとミシェル』で十代の少女を演じた、アニセー・アルヴィナが主演をつとめる。日本でよく知られる彼らの出演が、難解ともいえるアラン・ロブ=グリエと私たちとの距離を縮めてくれる気がする。市川崑監督の日仏合作映画『涙なきフランス人』の企画が中断されず、当時オファーを受けたアラン・ロブ=グリエの脚本が完成していたら……そんなことを考えると楽しくなる。(Mika Tanaka)『不滅の女』※劇場初公開出演:フランソワーズ・ブリオン、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ、カトリーヌ・ロブ=グリエ1963年/フランス・イタリア・トルコ/モノクロ/101分Crédits : © 1966 IMEC 『ヨーロッパ横断特急』※劇場初公開出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、マリー=フランス・ピジェ、クリスチャン・バルビエール1966年/フランス・ベルギー/モノクロ/95分『嘘をつく男』※劇場初公開出演:ジャン=ルイ・トランティニャン1968年/フランス・イタリア・チェコスロヴァキア/モノクロ/95分Crédits : © 1970 IMEC 『エデン、その後』※劇場初公開出演:カトリーヌ・ジュールダン、ピエール・ジメール、リシャール・ルドウィック1970年/フランス・チェコスロヴァキア・チュニジア/カラー/98分『快楽の斬進的横滑り』劇場初公開出演:アニセー・アルヴィナ、ジャン=ルイ・トランティニャン、マイケル・ロンズデール、イザベル・ユペール1974年/カラー/106分Crédits : © 1983 ARGOS FILMS 『囚われの美女』出演:ダニエル・メグイシュ、ガブリエル・ラズール、シリエル・クレール、ダニエル・エミリフォーク1983年/カラー/85分Rétrospective Alain Robbe-GrilletCrédits : © 1963 IMEC L’immortelle; 1963, France, Italie, Turquie, N/B, 101 mnTrans-Europ-Express avec Jean-Louis Trintignant, Marie-France Pisier, Christian Barbier; 1966, France, Belgique, N/B, 95 mnCrédits : © 1968 IMEC L’homme qui ment avec Jean-Louis Trintignant; 1968, France, Italie, Tchécoslovaquie, N/B, 95 mnL’Eden et Après avec Catherine Jourdan; 1970, France, Tchécoslovaquie, Tunisie, 98 mnCrédits : © 1974 IMEC Glissements progressifs du plaisir avec Jean-Louis Trintignant, Isabelle Huppert, Michael Lonsdale; 1974, France, 106 mnLa belle captive; 1983, France, 85 mn

<アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ> Rétrospective Alain Robbe-Grillet
