東京で上映されるフランス語圏映画Les films en français à Tokyo
投稿日 2018年1月31日
最後に更新されたのは 2020年6月22日
Eurospace 03-3461-0211
 
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Crédits : © 1996 StudioCanal – Les Films Alain Sarde – Rhône Alpes Cinéma

6月27日(土)より
 
『ポネット』
 病室のベッドで小さな女の子が指をしゃぶっている。腕には真っ白なギプス。パパがそこに子犬の絵を描いてくれた。この子の名はポネット。ママと一緒に車に乗っていたとき、事故に遭った。
「ママは死んだんだよ」病院からの帰り、車の中でパパが言う。そして自分たちを残して逝ってしまったママを責める。ポネットは「ママは悪くない」と言い返す。そしてパパはポネットに言う。「パパと約束してくれ。絶対に死なないって」…… ポネットは、パパがリヨンで仕事をしている間、伯母さんの家で暮らす。そこにはいとこのデルフィーヌとマチアスがいる。2人とも子供なりにポネットを気にかけるけれど、ポネットの心の奥にまで入っていけるわけではない。ポネットは遊ぶのを断って、ひたすらお祈りする。何度も何度も神様にお願いして、ママがやってくるのを待つ。「悪い子だからママが死ぬんだ」と心ない発言をする子もいる。「ヘンな子だけど好きだよ」という子もいる。口をへの字に突き出す顔も、その後の泣き顔も、見えないものを探そうと空中を眺める顔も、ポネットの表情のひとつひとつが愛おしくてたまらない。そしてわずかに登場するポネットの笑顔に、ほっとする。
 パパ役は監督としての活躍でも知られるグザヴィエ・ボーヴォワ。ママ役は、ジャン=ルイ・トランティニャンとナディーヌ・トランティニャンの娘、マリー・トランティニャン。マリーは、2003年に41歳という若さで他界する。マリーの残された子供たちのことを思いながら観ると、この映画が現実を超越したところにあって、天から光を届けてくれているような気持ちになった(Mika Tanaka)
 
脚本・監督:ジャック・ドワイヨン
出演:ヴィクトワール・ティヴィルゾル グザヴィエ・ボーヴォワ マリー・トランティニャン 他
1996年/97分/フランス
配給:アイ・ヴィー・シー
 
Eurospace
À partir du 27 juin
Ponette de Jacques Doillon avec Victoire Thivisol, Léopoldine Serre, Marie Trintignant, Xavier Beauvois; 1996, France, 97 min
 

 
Bunkamura Le cinéma 03-3477-9264
Cinema Qualité 03-3352-5645
 
上映中
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Crédits : ©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

『今宵、212号室で』
 帰宅してすぐにシャワーを浴びる妻。脱ぎ捨てた妻の服を洗濯機まで運ぶ甲斐甲斐しい夫。何の気なしにポケットのスマホを取り出すと、妻宛に届いた浮気相手からのメッセージが目に飛び込む。「ただの火遊び、あなただって浮気ぐらいあるでしょ」と言い放つマリア(キアラ・マストロヤンニ)に対して、「俺は25年間、一度も浮気をしたことはない!」とリシャール(バンジャマン・ビオレ)が返す。「結婚する相手を間違えた」と、リシャールは怒り狂って部屋に閉じこもってしまう。マリアはすぐ向かいのホテルの部屋を取り、窓越しにリシャールの様子を伺うことに。すると、夢かうつつか、ホテルの部屋に次々とここにいるはずのない人々が現れ始める。若き日のリシャールと彼の元恋人、マリアの不貞を責める母親、マリアが過去に関わったかなりの数の男性たち、しまいにはシャルル・アズナヴール(のような歌手)まで現れて、マリアの奔放な生活に発破をかける……クラシック、シャンソン、懐かしくて甘いポップス、スクリーンいっぱいに音楽の香りが漂って、私たちはしばし映画の魔法に酔いしれる。そして一夜の短い物語が終わる頃、私たちは愛について少し学んで、少し大人になれる。かつて本当に夫婦だった2人がこの映画で夫婦を演じていると知って観ると、映画にはもうひとつのリアルがあって俳優たちは映画の中でもうひとつの人生を生きているのだとしみじみ感じる。ホテルの部屋番号が”212”という演出がおしゃれ。マリアの職業が伏線になっているので、映画の冒頭のマリアの台詞、しっかり覚えていてくださいね。(Mika Tanaka)
 
脚本・監督:クリストフ・オノレ
出演:キアラ・マストロヤンニ ヴァンサン・ラコスト カミーユ・コッタン バンジャマン・ビオレ キャロル・ブーケ 他
2019年/87分/フランス・ルクセンブルク・ベルギー合作
配給:ビターズ・エンド
 
À l’écran
Chambre 212 de Christian Honoré avec Chiara Mastroianni, Vincent Lacoste, Benjamin Biolay, Carole Bouquet, Camille Cottin; 2019, France, Belgique, Luxembourg, 87 min
 
 

 
K’s cinema 03-3352-2471
 
上映中
 
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Crédits : © Les Films du Sillage – ARTE France – Ina 2017

アンナ・カリーナ生誕80周年記念
『アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい』
 
「アンナ・カリーナがいいわ」
 
ココ・シャネルのひとことで、彼女の芸名は決まった。
 サンジェルマン・デ・プレで男物のレインコートに身を包んだエキゾチックな少女、それが後のアンナ・カリーナだ。ダイヤの原石を見出したモデルエージェンシーが、彼女をシャネルのもとへ連れていく。
 父は船乗り、母は19歳。両親に代わって4歳まで祖母に育てられた少女は、故郷のデンマークで自分の居場所をずっと探し続けていた。ロッセリーニやチャップリンの映画に心揺さぶられ、ルイ・アームストロングやカウント・ベイシーの音に憧れて、17歳になった彼女は自分の生い立ちから卒業するかのように、電車に乗ってコペンハーゲンを離れ、パリにたどり着く。
 モデルとして始まったアンナのキャリアだが、その豊かな感性と才能の先には女優としての道が用意されていた。ジャン=リュック・ゴダールに見初められヌーヴェルバーグのアイコンとなったアンナは、ルキノ・ヴィスコンティやジョージ・キューカーの映画にも出演し、国際的な女優として活躍の幅を広げていく。演技だけで表現しきれない思いをセルジュ・ゲンズブールの歌に込め、それでも満たされない思いを、脚本に託し、自ら映画の監督を手がけた。イングマール・ベルイマンの舞台に出演したこともある。これだけ華々しい人生でありながら、アンナの表情はいつもどこか寂しげだ。一方、この映画を観る人が多ければ多いほど、彼女の寂しさも癒されていくような気がしてならない。
 
 本作を撮ったのは彼女の最後のパートナー、デニス・ベリー監督。映画が日本で公開されるのを心待ちにしながら、アンナ・カリーナは2019年12月14日、パリでその生涯を終えた。2020年、この年限りという条件で本作は日本上映が許可された。
 作中にはアンナ・カリーナの過去の出演作品があり、著作権上の課題があるためだ。
コロナ禍の最中でありながら予定通り公開が始まったことに、心から感謝したい。
(Mika Tanaka)
 
監督:デニス・ベリー
2017年/55分
配給:オンリー・ハーツ
 
À l’écran
Anna Karina, souviens-toi documentaire de Dennis Berry; 2017, France, 55min
 
 

 
Human Trust cinema Yurakucho 03-6259-8608
Shinjuku Musashinokan 03-3354-5670
 
上映中
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Crédits : © Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF

『その手に触れるまで』
 内気で真面目で、はにかみ屋。ベルギーに住むアメッド(イディル・ベン・アディ)はどこにでもいそうな、13歳の少年だ。凶暴なまでの純粋さを持て余し、何かを信じたくて、何かに夢中になりたくて、そんな彼がたまたま選んだ道が”イスラム原理主義”だった、それだけのことだ。そう言いたいが、それだけのことでは終わらない事件が起きてしまう……まだあどけなさの残るシルエットと人擦れしていない仕草や表情。ダルデンヌ兄弟はあえて、そんな少年をオーディションで選んだ。
 思春期の少年少女が心の闇にとらわれるというのはありがちなことで、何の不思議もない。危険なのは、闇の中で迷子になってしまったとき、明らかに間違っている方向に進んでしまうことだ。だから、間違っているという自覚がない子供に手を差し伸べ、闇をぬけきるまでその手を決して離さずにいる大人の存在が必要不可欠だ。イスラム原理主義に囚われたアメッドにとって、家族以外の女性と手と手を取ることは許しがたいこと。だから、頼ってもいい人に頼ることができず、ひとりで闇の中を歩かざるを得なかった。怖かったろう、辛かったろう……カメラ越しに、ダルデンヌ兄弟の声が聞こえてくるようだった。
 コロナ禍で世界中が危機的な状況に陥っていた頃、インターネット越しにダルデンヌ両監督と言葉を交わす機会があった。そのときの言葉が映画のワンシーンのように、今でも強烈に心に残っている。「私たちは今、そばにいる人に触れたいのに触れられない、会いたい人がいるのに会えない、そんな状況にあります。今後も、私たちがこの状況に慣れることはないと思います」。人という存在は、社会と関わりたい存在で、他者と離れることには慣れない存在だと、言葉をひとつひとつ噛みしめるように語るダルデンヌ監督。「買い物に行くとき、すぐそばの人がウイルスを持っているかもしれないと思うこともあるかもしれません。しかしそれは、その人を”信用できない”ということとは違うような気がします。ウイルスは私たちみんなを襲ってくる。ウイルスを持っている人が敵ではないんです。新型コロナウイルスは中国から始まっていますが、中国の人たちがわざとつくったわけではありません。だから、中国の人も、ウイルスを持っているかもしれない人も、敵ではなくて仲間なんです」。こんな状況であっても、いやこんな状況だからこそ私たちは”連帯感”を持っていられる。彼らの言葉を記憶に留めて本編を見ると、さらに深い奥行きがあることに気づくのではないだろうか。(Mika Tanaka)
 
監督・脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ リュック・ダルデンヌ
出演:イディル・ベン・アディ オリヴィエ・ボノー ミリエム・アケディウ ヴィクトリア・ブルック
2019年/84分
 
À l’écran
Le jeune Ahmed de Jean-Pierre et Luc Dardenne avec Idir Ben Addi, Myriem Akheddiou; 2019, Belgique, 84 min
 
 

 
Cine Switch Ginza 03-3561-0707
 
上映中
 
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Crédits : © Les Films du Poisson - France 2 Cinema - Uccelli Production - Pictanovo

『アンティークの祝祭』
 自分の人生が終わりに近づいていることを悟ると、人はどのような行動をとるのだろうか。70年以上におよぶ人生を生きてきたクレール(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、薄れゆく自分の記憶に気づいていた。もう、自分の体の中につなぎとめておくことができないことも。
 ルイ15世の時代の象の置き時計、繊細な動きのからくり人形、重厚な肖像画……自分の生きた証にも等しい高価なアンティークをすべて手放そうとするクレールを、遠くから案じる女性がいた。クレールの娘マリー(キアラ・マストロヤンニ)の幼い頃からの友人、マルティーヌ(ロール・カラミー)だ。マルティーヌは20年前に家を飛び出したマリーに連絡を取り、母のもとへ呼び戻す。真っ白な髪のクレールと、人生に疲れた表情のマリー。20年という時間は二人に平等に降り注いできたけれど、二人の間にある溝は溝のまま、変わらずに横たわる。母と娘を、実の母娘であるカトリーヌ・ドヌーヴとキアラ・マストロヤンニが演じるこの映画には、リアルとファンタジーの境界線をふわふわと漂うような浮遊感がある。まるで香水のように「憂いをまとう」二人に、女優の本質が透けて見える気がする。(Mika Tanaka)
 
監督・脚本:ジュリー・ベルトゥチェリ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ キアラ・マストロヤンニ
2018年/94分
 
À l’écran
La dernière folie de Claire Darling de Julie Bertuccelli avec Cattherine Deneuve, Chiara Mastroianni, Alice Taglioni, Samir Guesmi; 2018, France, 94 min
 
 

 
Ciné Switch Ginza 03-3561-0707
Shinjuku Cinéma Qualité 03-3352-5645
Human Trust Cinéma Shibuya 03-5468-5551
Ciné Libre Ikebukuro 03-35902126
 
7月17日(金)より
 
『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』
監督:フランソワ・オゾン
出演:メルヴィル・プポー、ドゥニ・メノージェ、スワン・アルロー、ジョジアーヌ・バラスコ、エレーヌ・ヴァンサン
2019年/137分
 

 
Shinjuku Musashinokan 03-3354-5670
Human Trust Cinéma Yurakucho 03-6259-8608
Bunkamura Le Cinéma 03-3477-9264
bunkamura.co.jp
 
8月14日(金)より
 
『ポルトガル、夏の終わり』
監督:アイラ・サックス
出演:イザベル・ユペール、ブレンダン・グリーソン、マリサ・トメイ、ジェレミー・レニエ
2019年/フランス・ポルトガル/100分
 

 
Yebisu Garden Cinéma 0570-783-715
 
上映中
 
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Crédits : © 2018 LES FILMS DU PREMIER - LES FILMS DU 24 - TF1 FILMS PRODUCTION

『最高の花婿 アンコール』
「ひどい旅だった」、「悪夢よ」。フランスへ帰る飛行機で、クロード(クリスチャン・クラヴィエ)とマリー(シャンタル・ロビー)が漏らす。コートジボワール、アルジェリア、中国、イスラエル。4人の愛娘の婿たちの国への訪問を終えたヴェルヌイユ夫妻は、故郷に帰るなり遭遇した労働者のストに安堵し、チーズとワインの暴飲暴食に身を任せる……ロワール地方の保守的なヴェルヌイユ夫妻と、バラエティ豊かな娘婿とその家族たちとの摩擦をコミカルに描いた前作『最高の花婿』(原題:Qu’est-ce qu’on a fait au bon Dieu?) が、同じキャストで私たちのもとへ帰ってきた。宗教も文化も違う彼らがぶつかり合う先にあるのは「笑い」だ。孫のことが可愛くてしょうがないし、義理の息子たちがフランスでの暮らしに失望しかけると、彼らの居場所を確保しようとヴェルヌイユ夫妻は奔走する。「国(フランス)が君たちを受け入れたというのに、君たちは文句ばかりだ!」と言い放ちながらも、クロードには”上から目線”が感じられない。「チーズとワインが最高」という縦の感覚ではなく、「俺はチーズとワインが好きなんだ」という横の感覚。まさに、フランスが誇る平等の精神(Égalité)ではなかろうか。世界中の人々に余裕がなくなり、差別や偏見がむき出しになっているこんなときだからこそ、多様性の国フランスから発信されるこの映画に希望を見出したい。(Mika Tanaka)
 
監督:フィリップ・ドゥ・ショーヴロン
出演:クリスチャン・クラヴィエ、シャンタル・ロビー
2018年/98分
 
À l’écran
Qu’est-ce qu’on a encore fait au Bon dieu? de Philippe de Chauveron avec Christian Clavier, Chantal Lauby, Ary Abittan, Medi Sadoun; 2018, France, 98 min
 
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