フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Mika Tanaka

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東京で上映されるフランス語圏映画Les films en français à Tokyo
投稿日 2018年1月31日
最後に更新されたのは 2024年2月22日


シネスイッチ銀座 03-3561-0707
新宿武蔵野館 03-3354-5670
ヒューマントラストシネマ渋谷 03-5468-5551

2月23日(金)より

Film annonce du film qui n'existera jamais : « Drôles de guerres
Film annonce du film qui n’existera jamais : « Drôles de guerres
Crédits : © SAINT LAURENT - VIXENS - L’ATELIER – 2022

『ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』
 2022年9月。どれだけの人が彼を悼んだだろう。世界の映画界を揺さぶり、時代の寵児となったジャン=リュック・ゴダール。病に苦しんだ彼は、自らの意志で死を選んだ……そんなゴダールの最後の作品は、まるで本のようであり、展覧会のようであり、友人との会話のようでもある。ゴダールの手書きの文字、ゴダールの選んだ絵や写真、そして映像が映し出され、ゴダール自身が彼の声で熱く静かに語る。大がかりなセットがあるわけではなく、大人数のクルーがいるわけでもない。華やかなキャストもそこにはいない。コロナ禍を乗り越えて完成したこの短編には、最後まで映画作家としてこの世界に真摯に向き合った彼の生きざまが刻印されている。
―−もう少しだけ肩の力を抜いてもよかったのに、と思うだろうか。
−―自分のすべてを捧げた潔さに敬礼したくなるだろうか。
―−あるいは、あまりにも純粋なその魂に触れ、自分の通ってきた道、これから行こうとする道を忘れてしまうだろうか。
私たちはゴダールのいない世界にいて、これからもその世界で生きていく。しかし、彼の遺言(遺作)が届いた今、何かが少しだけ変わったような気がする。肉体が滅びようとも消えることのない確かなものがあることを、ゴダールが教えてくれているのかもしれない。(Mika Tanaka)
監督・脚本・出演:ジャン=リュック・ゴダール
2023年/20分/フランス

À partir du 23 février
Film annonce du film qui n’existera jamais : « Drôles de guerres » de Jean-Luc Godard; 2023, France, Suisse, 20 min

https://godard-phonywarsjp.com/

Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下
新宿ピカデリー
2月23日(金)より

Anatomie d'une chute
Anatomie d’une chute
Crédits : ©2023 L.F.P.– Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma

『落下の解剖学』

 真っ白な雪に流れる真っ赤な血。 フランスの人里離れた山荘の前で、1人の男性の死体が発見される。彼 の名は、サミュエル(サミュエル・タイス)。視覚障害を持つ11歳の息子ダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)と、ベストセラー作家の妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)、そして愛犬のスヌープと静かに暮らしていた。
 検察は妻のサンドラを殺人の容疑で起訴、サンドラは弁護士のヴァンサン(スワン・ アルロー)に助けを求める。検事(アントワーヌ・レナルツ)は、夫婦仲が悪かったとして、死の前日の激し い口論が録音されたUSBを証拠に取り上げる。息子ダニエ ルの証言だけが、サンドラの行く末を握ることになる。
もし自殺だったら、父は自分を見 捨てたことになるのか?もし殺人だったら、父を殺したのは自分の母なのか?景色が見えない、真実が見えない、自分の記憶が正しく見えてこ ない……声変わりを迎える前の少年が、感情に流されず、知りうる事実だけを語らなければならない。どんなに忠実であろうとしても、嘘をつ くつもりがなくても、ぶれが生じても不思議はないだろう。小さな体に課せられた荷はあまりにも重い。
自分の語るべきことが何なのかを 悟った彼は、父をかばうのではなく、母を救うのではなく、自分が聞いた言葉と体験した出来事を冷静に再現する。見えないはずの彼の目の奥 にある「何か」に、心が吸い寄せられる。(Mika Tanaka)

監督:ジュスティーヌ・トリエ  
脚本:ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ
出演:ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ 
152分/2023年/フランス

À partir du 23 février

Anatomie d’une chute de Justine Triet avec Sandra Hüller, Swann Arlaud, Milo Machado-Graner, Antoine Reinartz; 2023, France, 152 min

https://gaga.ne.jp/anatomy  

新宿バルト9 03-5369-4955
ヒューマントラストシネマ渋谷 03-5468-5551
T・ジョイPRINCE品川 03-5421-1113

上映中

La Maison
La Maison
Crédits : © RADAR FILMS - REZO PRODUCTIONS - UMEDIA - CARL HIRSCHMANN - STELLA MARIS PICTURES

『ラ・メゾン 小説家と娼婦』

« Il n’y a pas de sot métier »というフランス語を聞いたことがある。人の仕事に上下や優劣はないという意味だそうだ。日本にも似たような諺がある。この映画の主人公・エマ(アナ・ジラルド)は、それを実体験によって証明しようとしたのだろうか。
 原作は、2019年に発表されたエマ・ベッケルの自伝的小説。「娼婦についての小説を書く」という理由で、彼女は2年間、本当に娼婦となり娼館で働いたのだ。それは好奇心だろうか?作家としての野心だろうか?
「恋愛と執筆から逃げたいだけじゃない?」。エマの妹(ジーナ・ヒメネス)がさりげなく発したひと言に、真実がかくれているのかもしれない。発表した作品が売れても、次もまた売れるとは限らない。心血を注いで書き上げても、見向きもされない可能性は十分にある。そんな状況にあって、ぶれることなく自分を持ち続けることがいかに苦しいことか。火の海に飛び込みでもしない限り、平静を保つことはできなかったのではないだろうか。
「ラ・メゾン」という高級娼館には、さまざまな事情を持つ女性が集まる。ある娼婦は子供との時間をつくるために、またある娼婦は女優であり続けるために、そしてエマは作家という地位を失わないために、体を売る……主演のアナ・ジラルドが過激な描写に物おじせず臨むことができたのは、アニッサ・ボンヌフォン監督への絶大なる信頼があったからだろう。原作者のエマ・ベッケルもボンヌフォン監督の起用を強く望んだそうだ。女性監督の目線で描かれる女性たちを、そして女性監督の目線で描かれる男性たちを観察してほしい。そこからあなたは何を感じ取るだろうか。(Mika Tanaka)

監督:アニッサ・ボンヌフォン 
出演:アナ・ジラルド、オーレ・アッティカ、ロッシ・デ・パルマ、ヤニック・レニエ、フィリップ・リボット、ジーナ・ヒメネス、ニキータ・ベルッチ
89分/2022年/フランス、ベルギー/R-18
※ユニフランスの支援を受け、“French Cinema Season in Japan”の一環として公開

À l’écran
La Maison d’Anissa Bonnefont avec Ana Girardot, Aure Atika, Rossy de Palma, Yannick Renier, Philippe Rebbot, Gina Jimenez, Nikita Bellucci; 2022, France, Belgique, 89 min, R-18

https://synca.jp/lamaison/

Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下
シネスイッチ銀座
新宿武蔵野館
アップリンク吉祥寺

上映中

La Passion de Dodin Bouffant
La Passion de Dodin Bouffant
Crédits : ©Carole-Bethuel ©2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA

『ポトフ美食家と料理人』

 1885年のフランス。美食家のドダン(ブノワ・マジメル)は、料理人のウー ジェニー(ジュリエット・ビノシュ)と共に、森の中のシャトーで暮らしている。シャトーには、一流レストランにも劣らない厨房とダイ ニング、質のよい野菜やハーブが採れる庭がある。”美しい味”を描くという豊かな創造力を持つドダン。彼のイメージするものを形とし て完成させる技術を持つウージェニー。2人は20年来のパートナーとしてお互いを信頼し、高め合っていた。
厨房で料理にいそしむドダン の姿が映る。それは、ウージェニーへの一途な愛の表現。50年海底で眠っていたシャンパ ン、中国の詩人の言葉、そして料理を口に運ぶウージェニーをじっとみつめながら「食す」ときの口の中の動きを丹念に表現するドダ ン……何と官能的なのだろう。触れ合ったり抱き合ったりするわけでもないのに、ドダンの濃密な思いが、ウージェニーを包み込んでいく のだ。2人の関係は「夫婦」というよ り「同志」だ。死が2人を分つことがあっても、決 してその絆が消えることはない。2人が情熱を注いだ厨房がそこ にある限り。ウージェニーがその才能を見抜き、弟子にしたいと考えていた少女・ポーリーヌ(ポニー・シャニュー・ラヴォワール)の存 在が大きな役割を果たしている。
音楽はエンドロールまで一切 流れない。私たちの耳に届くのは、登場人物たちの会話と、調理の音や自然界の音だけだ。それゆえだろうか、エンドロールのピアノの音 の美しさが際立つ。監督は、トラン・アン・ユン。『エタニティ 永遠の花たちへ』(原題:Eternite)に続き、繊細で美しい映像が 私たちの心を優しさで満たしてくれる。
(Mika Tanaka)

監督:トラン・アン・ユン
脚本・脚色:トラン・アン・ユン
出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル
料理監修:ピエール・ガニェール
136分/2023年/フランス

À l’écran

La Passion de Dodin Bouffant de Trần Anh Hùng avec Benoit Magimel Juliette Binoche,
Emmanuel Salinger, Patrick d’Assumçao, Galatéa Bellugi; 2023, France, Belgique, 136 min

https://gaga.ne.jp/pot-au-feu/

新宿シネマカリテ 03-3352-5645

1月18日(木)まで

VORTEX
VORTEX
Crédits : © 2021 RECTANGLE PRODUCTIONSGOODFELLASLES CINEMAS DE LA ZONE - KNMARTEMIS PRODUCTIONSSRAB FILMSLES FILMS VELVETKALLOUCHE CINEMA

VORTEX

 横長のスクリーンが2つに分割され、画面が左右に表示される。「スプリットスクリーン」と呼ばれるこの手法で映画は始まる。2つの視点で、私たちは老夫婦に訪れた最期の日常を追体験するのだ。
 夫(ダリオ・アルジェント)は心臓疾患、妻(フランソワーズ・ルブラン)は認知症を患っている。夫の職業は映画評論家。「夢と映画」をテーマに新作を執筆しているが、妻の予測不能な行動に振り回され、なかなか集中することができない。妻は、元精神科医。わずか3週間で坂を転げ落ちるように症状は悪化し、もはやその面影は感じられない。離れて暮らす息子(アレックス・ルッツ)が介護施設の入居をすすめるが、夫は「この家にはすべてがある。過去を捨てたくない」と拒絶する。「この家は悪夢だ!」と叫び声を上げるほどに追い込まれているにも関わらず。
 若者向けの過激な描写で知られるギャスパー・ノエ監督だが、彼が今回挑んだテーマは、「病」と「死」、それらと向き合う「家族」だ。彼自身が脳出血のため生死の境をさまよったこと、コロナ禍のロックダウン中に数々の日本映画に触れたこと(溝口健二、成瀬巳喜男、木下惠介、黒澤明、篠田正浩監督等の作品)は、この作品にさらなる深みを与えるこ とになったのだろう。死へと向かう妻と夫、やんちゃで生命力溢れる孫……老いと幼さが映像に強烈なコントラストを与える。映画の最後で、孫の質問に答える息子の言葉が印象的だ。
(Mika Tanaka)

監督・脚本:ギャスパー・ノエ
出演 : ダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ
148分/2021年/フランス

À l’écran

VORTEX de Gaspar Noé avec Dario Argento, Françoise Lebrun, Alex Lutz; 2012, France, 148 min

https://synca.jp/vortex-movie/

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