新宿シネマカリテ 03-3352-5645
シネスイッチ銀座 03-3561-0707
4月17日(木)まで
『Playground/校庭』
監督:ローラ・ワンデル
出演:マヤ・ヴァンダービーク、ガンター・デュレ
2021年/ベルギー/フランス語/72分
Jusqu’au 17 avril
シネスイッチ銀座 03-3561-0707
アップリンク吉祥寺 0422-66-5042
上映中

『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』
原題は”La nouvelle femme” 、「新しい女性」だ。
映画の舞台となった1900年代、教養があり自立した女性をこう呼んでいた。マリア・モンテッソーリ(ジャスミン・トリンカ)は、この言葉を体現するような人物だっ た。しかし、新しい女性であり続けるために彼女が払った代償は決して小さなものではなかった。
男性に劣ることのない知識や技量、鋭い観察力を持つマリアは、一般の学校では受け入れられなかった子供たち(障害を 持つ子供たち)を教育する研究所を運営し、めざましい成果を上げていく。しかし、称賛を浴びるのはいつも男性である研究所のパートナー、 ジュゼッペ。それどころか、彼女には報酬や給与は一切ないのだ。そんな彼女の光となるのが、もう1人の「新しい女性」、リリ(レ イラ・ベクティ)。結婚し、子供を産み大切に育てていたリリだが、娘のティナが障害児であることがわかり、双方の親の判断で離縁させられ る。リリはティナ(ラファエレ・エスポジト)を母親に預け、自身はクルチザンヌ(高級娼婦)として人生を再スタートする。
ティナの存在を隠すためパリからローマへやって来たリリは、マリアの研究所を訪れる。ティナを預かってもらい、自分 は仕事に専念するためだ。出会った当初は反発し合っていたかのような2人だが、距離は徐々に縮まり、いつしかお互いになくてはならない存在となっ ていく……モ ンテッソーリ教育の祖であるマリアは、決して無敵で完璧な女性ではなかった。彼女がはらむ矛盾やトラウマを丹念に描き出したのは、レア・トドロフ監督。これが初めての長編映画となる。遺伝性の病気を持った娘の誕生が、この映画の制作するきっかけだった。それゆえだろうか、子供たちの描写に愛が溢れている。子供たちのキャスティングには時間をかけ、入念にワークショップを行ったという。「障害児」といって も、その障害にはたくさんの種類があり、ひとくくりにはできない。モンテッソーリ教育が提唱する「観察」をトドロフ監督は実践し、その結 果子供たちの素晴らしい演技を引き出すことに成功したのだろう。「障害のある子供たちに多くを期待しないということは、それを見捨てるこ とになってしまうと思うのです」と語るトドロフ監督の言葉に、マリア・モンテッソーリの姿が重なる。(Mika Tanaka)
監督・脚本:レア・トドロフ
脚本:カトリーヌ・バイエ
出演:ジャスミン・トリンカ、レイラ・ベクティ、ラファエル・ソンヌヴィル=キャビー、ラファエル・エスポジト、ピエトロ・ラグーザ、アガト・ボンゼール
2023年/フランス・イタリア/イタリア語・フランス語/99分
À l’écran
La nouvelle femme de Léa Todorov avec Jasmine Trinca, Leïla Bekhti, Rafaëlle Sonneville-Caby, Raffaele Esposito, Agathe Bonitzer; 2023, France, Italie, français, italien, 99 min
http://maria.onlyhearts.co.jp/
下高井戸シネマ 03-3328-1008
4月12日(土)〜18日(金) 18:35

『映画を愛する君へ』
主人公の名前はポール・デダリュス。そう、 1996年の映画『そして僕は恋をする』2015年『あの頃エッフェル塔の下で』 の主人公の名前だ。6歳、14歳、22歳、30歳……人生の節目節目のポールが登場し、映画との出会い、映画への思いを語る。ポールはアルノー・デプレシャン監督自身の分身、この映画は監督の自伝的なエッセイといえる。
映画についてのドキュメンタリーを作らないかというオファーがきっかけだった。「ドキュメンタリーの作り方はわからないけれど、フィクションの要素を取り入れたハイブリッドな形式の映画なら撮れるのではないか?」デプレシャン監督の構想はどんどん膨らみ、本作が完成した。おばあちゃんに初めて映画館へ連れて行ってもらって観た『ファントマ 危機脱出』、そのとき「自分の居場所をみつけた」と感じたこと。テレビ画面に流れたフランス語吹き替えの『白い恐怖』、学校の映画部に入って企画した鑑賞会で選んだ映画『ひなぎく』、『SHOAH ショア』を観たときの体験、『大人は判ってくれない』をあらためて観た後、大きな決断をしたこと……ポールという1人の少年の成長物語と、映画が誕生した 19世紀末から現在までの映画の歴史が編み上げていくエッセイは、懐かしさと愛がつまった宝箱のよう。ポールの映画への愛はもちろん、 ポールに関わる人たちへの愛が。ポールの祖母(フランソワーズ・ルブラン)、大学教授(ミシャ・レスコー )、ドキュメンタリーパートで本人として出演している文芸評論家のショシャナ・フェルマンと友人のケント・ジョーンズ……スクリーンいっぱいに愛と優しさが溢れているのだ。そして、本作のナレーションを手がけるマチュー・アマルリックが登場するワンシーン。彼が微笑んだ一瞬を何と表現したらよいのだろう。『そして僕は恋をする』と『あの頃エッフェル塔の下で』でポールを演じたマチューをこのタイミングで、このように登場させてしまうデプレシャン監督の技量とマチュー自身の天性の魅力が呼応したときのまばゆいほどの輝き……映画の魔法をまたひとつ発見した。(Mika Tanaka)
監督:アルノー・デプレシャン
出演:ルイ・バーマン、クレマン・エルビュー=レジェ、フランソワーズ・ルブラン、ミロ・マシャド・グラネール、サム・シェムール
2024年/フランス/88分
Spectateurs! d’Arnaud Desplechin avec Louis Birman, Françoise Lebrun,Milo Machado-Graner, Sam Chemoul, Salif Ciss, Mathieu Amalric; 2024, France, 88 min
https://unpfilm.com/filmlovers/
4月19日(土)〜25日(金) 9:30
『不思議の国のシドニ』
監督・脚本:エリーズ・ジラール
出演:イザベル・ユペール、伊原剛志
2023年/フランス・ドイツ・スイス・日本/96分
4月19日(土)〜25日(金) 11:25
『オークション 盗まれたエゴンシーレ』
監督・脚本:パスカル・ポニゼール
出演:アレックス・リュッツ
2023年/フランス/91分