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La francophonie au Japon

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東京で上映されるフランス語圏映画Les films en français à Tokyo
投稿日 2018年1月31日
最後に更新されたのは 2024年6月14日
新宿武蔵野館 03-3354-5670
 
上映中(アップリンク吉祥寺は、6月20日まで)
Bâtiment 5
Bâtiment 5
Crédits : © SRAB FILMS - LYLY FILMS - FRANCE 2 CINEMA - PANACHE PRODUCTIONS - LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE – 2023

『バティモン5 望まれざる者』
NE SOYONS PLUSSIGNÉS”(諦めるのはもうやめよう)。
ポスターにはこう書かれている。そこに写るのは、パリ郊外の架空の町、モンヴィリエの市長選に立候補したアビー・ケイタ(アンタ・ディアウ)の笑顔だ。アフリカのマリ出身、モンヴィリエの古い団地、BÂTIMENT 5(バティモンサンク)に家族と住んでいる。イスラム教徒だが、クリスマスには幼い弟や妹と一緒にツリーを飾り、プレゼントを用意する。スカーフを巻いているけれど、スニーカーを履いてバイクに乗ることもある。彼女を立ち上がらせた直接の動機は、現市長による理不尽な禁止令だ。15歳〜18歳の若者は3人以上で繁華街にいてはいけない、20:00〜5:00は未成年だけでの外出は禁止。市議会に出された法案は議論されることなく成立してしまう。 
この映画で虐げられるのは若者だけではない。「移民」と呼ばれ貧困と直面する多くの人々が、一部の権力者に翻弄される。外壁が崩れかけ老朽化した建物は、行政側にとって処分すべき対象。しかし、必死でローンと金利を払い続けて住む移民たちにとっては、かけがえのない居場所だ。破壊しようとする者たちと守ろうとする者たちとの闘い、守ろうとする者が陥っていく狂気……監督のラジ・リは、パリ郊外、モンフェルメイユの出身。彼自身が見てきたもの、聞いてきたことがベースとなり、濃密なフィクションが完成した。物語は悲惨な方向へと展開していく。それでも、「あなた自身をひとことで表現するなら?」という記者の問いかけに« Je suis une Française aujourd’hui. » 「私は“現代”のフランス人なんです」と答えたアビーのまなざしに、ひと筋の希望が残されているように思える。(Mika Tanaka)
 
監督・脚本:ラジ・リ
出演:アンタ・ディアウ、アレクシス・マネンティ、アリストート・ルインドゥラ、ジャンヌ・バリバール、スティーヴ・ティアンチュー
105分/2023年/フランス・ベルギー
 
À l’écran
Bâtiment 5 de Ladj Ly avec Anta Diaw, Alexis Manenti, Aristote Luyindula, Jeanne Balibar, Steve Tientcheu; 2023, France, Belgique, 105 min
 
 

 
 
上映中
Animal
Animal
Crédits : ©CAPA Studio, Bright Bright Bright, UGC Images, Orange Studio, France 2 Cinéma – 2021

『アニマル ぼくたちと動物のこと』
ベラ・ラック、ロンドン在住。X(旧ツイッター)で13万人のフォロワーを持つ。ヴィプラン・プハネスワラン、スリランカ出身。現在はパリを拠点に活動している。育ってきた環境が異なる2人の共通点は、どちらも熱心な環境活動家であること。そして、2人とも撮影時に16歳だったことだ。欺瞞に満ちたこの世界で、ベラとヴィプランは動物や地球を守る活動をしている。自分たちのかけがえのない時間を費やして。でも、その犠牲に見合った成果がないことに憤る。
 あるとき2人は、暗い場所に案内される。電気がついたとたん、彼らは言葉を失う。そこにはケージに詰め込まれたウサギが大量にいた。ショックを受ける子供たちに続いてカメラが捉えたのは、どこか悲しげな目をした飼育場の管理者だ。飼育現場の実情を語る中、ベラとヴィプランに何かを「伝えたい」という必死の思いが伝わってくる。
「ウサギを飼育する業者の人から、ぜひ取材をしてほしいという連絡が動物愛護の団体を通して入ってきたのです」とシリル・ディオン監督は振り返る。なぜウサギをその環境で育てるのか、それは本当に動物虐待なのか、ベラとヴィプランは映画の中で異なる立場の声を聞き始める。あるとき、2人はクロードという名の牛飼いに出会う。牛が大好きなクロードは、牛飼いでありながら牛の数は数えない。1頭1頭、牛の名前をノートに書き留めているから。そして、牛が屠殺場に連れて行かれるたびに涙を流す。
ディオン監督は、環境破壊や動物虐待の実情を多角的な視点で捉える。一方的な正義感はそこにはない。そして、どうすれば地球と人間の双方にとってよい選択ができるのか、その答えを観客に問いかけていく。虐げられる動物、絶滅の危機に瀕する動物たちを救うためにどうしたらよいか、問題提起がされていく中で、この映画の本当のテーマが少しずつ見えてくる。
Cyril Dion シリル・ディオン監督(2024年3月21日撮影)
Cyril Dion シリル・ディオン監督(2024年3月21日撮影)
Crédits : ©Mika Tanaka

「動物への愛を、人間を憎むことに使っているんだね」。笑顔を見せることのないベラに、ディオン監督が静かに問いかける。映画の冒頭では大人たちへの不信感と怒りに支配されていたベラとヴィプラン。2人がさまざまな大人たちに出会い少しずつ心を開いていく過程は、心を癒していく旅のよう。学者、弁護士、ジャーナリスト、政治家、エコノミスト、農園主……自分たちの周りには、信じるに値する大人たちがいるのだ。2人は自分たちの未来に希望が残されていることを知る。ディオン監督が束ねた大人から子供への愛のメッセージを、1人でも多くの子供たちに届けたい。(Mika Tanaka)
 
監督:シリル・ディオン
出演:ベラ・ラック、ヴィプラン・プハネスワラン、ジェーン・グドール ほか
105分/2021年/フランス
 
À l’écran
 
ANIMAL documentaire de Cyril Dion avec Bella Lack, Vipulan Puvaneswaran, Jane Goodall, Baptiste Morizot; 2021, France, 105 min
 
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