『愛しき人生のつくりかた』Les souvenirs長く連れ添った夫に先立たれたおばあちゃん、マドレーヌ(アニー・コルディ)。妻とのぎこちない関係に戸惑う、定年退職したばかりのおやじ、ミシェル(ミシェル・ブラン)。そして、夜勤のアルバイトをしながら、小説家への夢を見る大学生のロマン(マチュー・スピノジ)。世代は違うが、迷いながらそれぞれの人生を生きる3人。マドレーヌは、息子のミシェルに素直になれないものの、孫のロマンには心を開ける。彼女が抱えているのは、「孤独」というより「心残り」だ。家族に説得され、しぶしぶと老人ホームに入るが、あるときこつ然と姿を消す。行き先は家族にも見当がつかない。家族が大騒ぎする中、ロマンのもとに、マドレーヌからの1枚の絵葉書が……舞台はパリとノルマンディーのエトルタ。描かれる風景も素敵だけれど、人々のふれあいはもっと素敵。テンポのよい会話に気持ちよく笑った後、心がほんのりとあたたまっている自分を発見する。主題歌は、フランソワ・トリュフォー監督の『夜霧の恋人たち』でも使われた“Que reste-t-il de nos amours ?”(邦題:『残されし恋には』)。トリュフォーを知らない人も、トリュフォーが大好きな人も、ぜひ。(Mika Tanaka)監督:ジャン=ポール・ルーヴ出演:アニー・コルディ、ミシェル・ブラン、シャンタル・ロビー、マチュー・スピノジ2015年/93分
『愛しき人生のつくりかた』Les souvenirs