『エヴォリューション』Évolutionとある小さな島。ここに住んでいるのは少年と女性だけ。映画は、10歳のニコラ(マックス・ブラバン)が海に潜り、「何か」をみつけるシーンから始まる。奇妙な映像、奇妙な展開。でも、当初想像していたようなグロテスクさとはかなり違う。そして、はっと気づく。その光景は、私たちがこどもの頃に既に体験していたかもしれないものだった、と。ルシール・アザリヴィック監督の長編デビュー作『エコール』に心奪われた人なら、きっとわかるはずの美しさ。幼児でもなく、大人でもない。思春期の少年少女たちの、不安と好奇心のはざまで揺れ動く感性が、かつての少年少女だった私たち大人の心に飛び込んでくる。「大人に従わなければならないけど、強い感情を持っている。そんな子どもたちの感情を表現したかった」と語ったアザリロヴィック監督。フランス語と日本語。そんな言語の違いは決して壁にはならないことを、彼女の繊細な映像が教えてくれる。 (Mika Tanaka)監督:ルシール・アザリロヴィック出演:マックス•ブラバン、ロクサーヌ•デュラン、ジュリー=マリー•パルマンティエ2015年/フランス•スペイン•ベルギー/81分
『エヴォリューション』Évolution